CEM 3340 タイプの VCO

今汎用の VCO を作ろうかなと考えています。Analog2.0 の VCO も汎用なので今まで実験などに使ってきたのですけれども、調整箇所が多いなど色々と直したい点があるので一から作り直してみようと考えているわけです。

普通に作るなら今まで通りリセット型の発振器にするのが素直ですけれども、CEM3340 のような三角波を発生する VCO もかねてから興味があったので検討してみました。実は CEM 3340、今は入手しようと思えば入手できてしまいます。数を作るならそれを素直に使うのが良いかもしれないのですが、電源が ±15V と指定されています。利便性を考えて ±10V の電源で設計しようと考えているのでこのプロジェクトでは使えません。残念。昇圧するという手もあることはあるのですけれどもね。

CEM 3340 のブロックダイアグラムは以下のようになっています

真ん中にある Q1, Q2, A2 あたりがアンチログ回路で、これを電流源にしてピン 11 につながれている CF に充放電することで発振させるようです。登りスロープと降りスロープは、カレントミラーを使って電流の向きを反転してそれをスイッチで切り替えるようです。

CEM 3340 の内部で見つかった情報はここまでです。もっと詳しい等価回路が存在するのかもしれませんが見つけられませんでした。あとは自分なりに想像して組んでみることにしました。

このスイッチをどうやって構成するのか以前から試行錯誤して試していたのですが、シミュレーションですけれども初めて動きそうな回路が組めました。FET スイッチですけれども U3 が胆です。この回路が、スイッチ J2 のソースピンが常に GND 電位にはりつけています。そのようにすると J2 のスイッチング挙動が安定しました。U3 にはもう一つ目的があって、カレントミラー Q1, Q2 のコレクタ電位をそろえています。こうすると両トランジスタが同条件で動作するので反転する電流の精度が良くなります。

思ったよりは単純な回路で組めましたけれども、それでもリセット型と比べると部品点数は多いです。それに、U2 の TL072 は比較器として使っているのですけれども TL072 はそれほど速いオペアンプというわけでもないのでちょっと気になります。LM339 比較器の回路を参考にして、ディスクリートの比較器を組んでみました。

動作はするようですがかなり部品点数が増えます。ちょっと音を聞いてみたい気はしますがあまり小さく作れないのはデメリットです。ちなみに 10kHz を超える周波数での比較器の出力を比べてみましたがどちらもまあ大丈夫なようです。ディスクリートのほうがやや速いようには見えます。

ちょっと部品点数が多いので比較器を簡素化してみたらどうでしょうか?

この回路では、非対称の比較器を使っています。でも部品点数はそれほどは減っていません。非対称の比較器をそのまま使うと波形にオフセットが出てしまいます。それを相殺する工夫が入っていますが完全には取り切れていないようです。ただ、比較器の挙動は断然速いようです。

面白いけれども、回路がちょっと複雑なこともありこれを基本にするかどうかちょっと悩ましいところ。CEM 3340 の音は大好きなんですけれどもね。音が似ているかどうかは実際に回路を組んでみないとわかりません。

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