デイブ・スミスの魔法

デイブ・スミス

シーケンシャル・サーキット社の設立者で、あの Prophet-5 の設計者です。

Prophet-5, Pro-One, Prophet-600, Evolver, Prophet ’08 というようなシンセを設計してます。他にも、Yamaha SY22、Korg Wavestation も設計しているそうですが、残念ながら音を聞いたことがありません。

彼の設計したシンセは、一貫して独特の「りりしい」音がします。ものすごくいい感じです。

でも、彼のシンセの設計は、実に「普通」なのです。回路図を見ても、奇をてらったようなところは全くありません。たいていの場合、「ほとんどデータシートの推奨回路どおり」です。これでどうやって、あの非凡な、しかも一貫して方向性のある音作りがなされているのか、いつも不思議でなりません。

そして、最近まで知らなかったのですが、彼は MIDI 規格の設計にも関わっているそうです。

MIDI規格ができたのは1982年、今でも、音楽データのインタフェースとして普通に使われています。単一のインタフェース規格が25年間も使われ続ける、ということは、そうたくさんはありません。非常に優れた規格なのだと思います。

MIDIの仕様を見ると、なるほどと思います。理解しやすく、また非力なプロセッサでも難なく処理できるように、オーバーヘッドが小さくできています。MIDI の仕様もまたとても「普通」なのです。ここも、なにかデイブ・スミスのにおいがします。

世の中に「普通」で「平凡」なものはたくさんあります。でも、「普通」で「非凡」なものは、そうはないと思うのです。きっとただ普通なのではなく、どこかに魔法があるのだと思います。どこなのか私にはさっぱり分かりません。

そんなことを考えながら Prophet-5 の回路図を読んだりしている近頃です。

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