ノイズ源トランジスタの候補

アナログ式のノイズジェネレータは、トランジスタの EB 間に耐圧 (Vebo) を超える逆方向電圧をかけ、その結果生じるツェナー電流の交流成分を増幅する方式が一般的です。Analog2.0 のノイズジェネレータもその方式を使っています(こんな回路です)。

このノイズ源としてどんなバイポーラトランジスタを使ってもたいていノイズは発生するのですが、聴いた感じの良し悪しは、型番によってけっこう違います。良いノイズ源として有名なのは 2SC828A ですが、とっくに廃止されていて今やレア部品です。そのため Analog2.0 では、設計当時の現行品で評判が良かった 2SC3311 を推奨しています。しかしこのトランジスタもついに廃止になり入手できなくなりました。以前からやらねばと思いつつ先延ばしにしていた後継トランジスタ探しを始めなくてはなりません。

とはいえ、どういうトランジスタが良いノイズを出すかなどまるでわかりません。わかっているのは、2SC3311 や 2SC828A は良い、汎用の 2SC1815 はノイズがもさったく、いまひとつだということぐらいです。他に、たまたま家にあった 2SC2003 も試してみましたがこれもいまひとつでした。

漫然と探していてもらちがあかない気がするので、データシートをよく見て、特性に何か特徴がないか見てみることにしました。その中で、絶対最大定格の部分

2SC18152SC1815

2SC8282SC828

2SC33112SC3311

2SC1815 の Vebo が 5V なのに対し、828, 3311 は 7V もあります。他のトランジスタを色々調べてみると、7Vというのは小信号用トランジスタとしてはかなり高いことがわかってきました。たいていの小信号用トランジスタの Vebo は 5V 以下です。ちなみに 2SC2003 も 2SC945 も5Vです。(945はノイズが出たかどうかの記憶もない。ので優れているということはありえない)

通常のトランジスタの使い方ならこの差は大して重要ではないかもしれませんが、ノイズ源の場合、Vebo はまさにこの定格をわざと超えて使うものです。828 と 3311 で共通してしめしあわせたように高いのは気になります。

他のパラメータでは、Noise Figure が気になります。これは増幅時にトランジスタがどれぐらい S/N 比を悪化させるかという指標で、小さいほど良好な特性といえますが、2SC1815 が 1dB、2SC828 は、6dB と、かなり違う値です。3311 はデータシートに書かれていませんでした。

というわけで、まずは Vebo が高いトランジスタを探して試してみることにします。ここから先はひたすら検索・探索、とりあえず以下を候補にします。2N3904 は意外でした。灯台もと暗し。

  • 2N3904 (Vebo=6V, NF=5.0dB)
  • BC547 (Vebo=6V, NF=2.0dB typ, 10dB max)
  • 2N4401 (Vebo=5V, NF=1.0dB min) … 比較のため
  • 2N5087 (Vebo=3V, NF=2.0dB) … 比較のため
  • MPSA18 (Vebo=6.5V, NF=0.5dB typ, 1.5dB max)
  • 2N5210 (Vebo=4.5V, NF=2.0dB) … 比較のため
  • KSD5041 (Vebo=7V)

 

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