製作中の Analog3 の VCA ユニットは、2 ボイスであることに加えて CV のかかりの深さをマイクロコントローラで制御するので中身は 3VCA 必要です。Analog3 プロジェクトはこういう風に VCA がこまこまと必要になる予定なので、1 VCA を小さく収めたユニットを作っています。下の写真は最初のバージョン。このユニットの狙いの一つに「無調整」があります。ところが、作ったユニットは CV 漏れのばらつきが非常に大きく、5V の CV を入れたところで数百 mV が出てしまうのもざらです。VCA の製作では必要だった 3 ユニットを使うために 10 個以上のユニットを作り、状態の良いものを選別しました。これでは立ち行きません。ということで、何が悪いのかずっと調査しています。

以下が前回の記事
前回の記事では、部品の選定を変えてブレッドボード上できちんと想定通りに動くことを確認、ところが、上の写真の基板に載せるとやはりひどいオフセットが出ます。ブレッドボード上では CV が 5V 程度の時にオフセットが 11mV と、もう一声小さくなってほしいところですがまあ実用にはなりそうな範囲に収まりましたが、基板に載せると 0.6V、つまり 600mV ものオフセットが出てしまいます。基板は今まで散々調べてきましたが目に見える異常は見つけられず、でもプリント基板のパタンの何かがいけないのだろうという当たりは付いてきました。原因を特定できれば素晴らしいんですけれども、もう何か月も引きずっているのに特定はできておらず、ここはもうプリント基板のせいに違いないという確信を得てから基板の設計をやり直す方針で行くことにしました。
どうしたら確信を持てるか?ユニットで使うものと全く同じ部品を使ってユニバーサル基板に同じ回路を組んで正常動作したら僕はプリント基板のせいだと考えます。ということで、やってみました。
ユニットで使う部品は全てピッチの狭い SMD なのでユニバーサル基板にもそのままでは載りません。抵抗器を除いて全てブレイクアウトボードを使って実装します。いきなりユニバーサル基板に回路を組んでオフセットが出たらトラブルシューティングに手こずりそうなので慎重にまずはブレッドボードで組みます。前回と違うのは、2.5V の定電圧を得る回路を代替の回路で済ましていたものを本番の部品を使った実際に使う回路にしたこと、カレントミラーに使うトランジスタはスルーホールのものを使っていたのを本番で使うものと同じにしたことです。結果は、5V の CV で 28 mV のオフセット。良くないといえば良くないですが 0.6V とかではないのでまあ良いでしょう。

ブレッドボードで試行錯誤してわかったのは、以下の回路の R5 に繋がっている GND と R8 に繋がっている GND 間に何か抵抗があると回路は非常に敏感に反応してオフセットが出るということ。上の写真の GND のレール同士をつないでいる緑線はこれを改善するためです。

若干の不安は残りますが、同じ部品を今度はユニバーサル基板に載せました。

裏面の配線はいまいちきたないですが、差動回路の左右にアンバランスが出ないように工夫はされています。

さて、結果は…

やっぱりもう一声小さな値が欲しいですがまあ良いでしょう。さらに改良するにはトランジスタの選別が必要かもしれません。無調整といっても無手間ではない、という感じでしょうか。
ですがやはり大きなオフセットが出る原因はプリント基板にあると考えて良いと思います。いったいどこが?とは思いますが、プリント基板の設計をやり直してみることにします。原因がまだわかっていないので改善するか不安ではあります。
しかしこの検証用のユニバーサル基板 VCA、使い道がないなあ…
