またノイズジェネレータ:変調回路はどう効いているのか?

いつもお世話になっているアナログ震世界の皆さんが集まるアナログシンセビルダーサミットが今週末あるようです。私もお邪魔できるといいなと思っていましたが都合つきませんでした。残念。

さて、ノイズジェネレータの話題です。これが最後です。ノイズジェネレータについていた変調回路は音にどう効果があるのか書いてみました。少しでもここを読みにきてくださっている皆様の参考になれば幸いです。


ノイズジェネレータ回路の構成はこれです。ng-white2.png

この回路は、ゲルマニウムダイオードから出てきた雑音をそのまま増幅するだけでなく、いったん70kHz ぐらいの非可聴周波数で AM 変調をかけてから 20kHz あたりから上をフィルタで除去するというちょっと変わった処理が入っています。

前回の記事でも書きましたがこの回路は、オーム社の「シンセサイザーの実験と工作」という本から引用してきたもので、その本によると大もとのネタはブックラシンセサイザーからきているそうです。さて、この変調回路は音にどういう影響があるのでしょうか?

変調があるのとないのとでは、大分出力が変わってきます。

spectrum20051119_2.pngspectrum20051119.png左右で white/pink が上下入れ替わっていて見づらいのが申し訳ないのですが、左が変調回路なしの出力で右がありの出力です。ピンクノイズはバンドパワー一定にしたいところですが、変調なしだと、高域が大分持ち上がっています。一方、変調ありでは、大体平坦になっています。

聞いた感じも大分違います。変調なしでは、少しチリチリとかガリガリといった感じの音がしますが、変調ありでは、ラジオなどから聞こえる「サー」という雑音に近いです(ホワイト)。

これはきっとこういうことなんじゃないかと思います。
周波数 fc の搬送波(ここではノイズ)に fm の変調波(ここでは発振器からの出力)をかけると、fc の波と fc + fm の波、fc – fm の波ができます。発振器はマルチバイブレータなので出力は矩形波ですが、仮にこれを正弦波とすると、変調出力はいろんな fc を持った搬送波に一定周波数 fm で AM 変調をかけた重なり合わせと考えることができます。fm はうんと高いので、fc + fm はフィルタリングで消されてしまうとして、fc – fm の成分が、スペクトルを折り返すような形で入ってきます。このようにして、変調回路はスペクトルの平坦化の効果があるのだと思います。(変調波が矩形波なのも、スペクトルをより散らばせる効果がありそうです)
違ってるかな?

変調回路直後の波形は以下のようになっていました。変調波の周波数はだいたい 65kHz と読み取れます。これぐらいの周波数でもノイズ成分が波打っているのが見えますから、ノイズには十分高域成分が含まれているようです。変調後低音が増強されているのは、この折り返しかなー?と思います。
noise-mod2.jpg

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