MIDI/CV の動作確認をしていて気づいたのが、ディジタルノイズが盛大に CV に漏れてくることです。実験用の雑な配線で電源も USB ですから無理もないわけではありますが、MIDI/CV のアナログ系の回路の電源ノイズ対策は考えておいた方が良いのではないかと思いました。
手っ取り早く電源から入ってくるノイズを除去する常套手段に、電源に CR フィルタを入れてしまう方法があります。これは以前ノイズジェネレータでやったことがあってノイズ除去にはとても効果的なことはわかっていますが、MIDI/CV のような出力の DC 値が重要な意味を持つ回路で電源に抵抗器をかましてしまうことにはちょっと抵抗があります。それでも +-12V のパワフルな電源部なら良いかもしれませんが、今回 5V のアナログ電源もあるので、こちらに抵抗器を入れるのはやっぱり嫌です。
Pi フィルタなら DC 抵抗は非常に小さくローパスフィルタを作れます。Pi フィルタについてちょっと調べてみました。
ディジタルとアナログ電源を分離するための Pi フィルタの例として以下のような推奨回路を見つけました。
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もう長らくインピーダンス計算などしていないので思い出してみるのも良いのですが、ちょっと脳みそを使うのをさぼって手っ取り早くシミュレータにかけてみます。こんな周波数特性が出ました
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ええこれこんなに鋭い Q が出ていたら実用にならないのでは?と思ったのですが、電源に Pi フィルタは普通に広く使われています。インダクタの内部抵抗を無視してはいけないのでは、と思い当たって、実際にある 2.2μH のインダクタを探してデータシートにあった内部抵抗 0.15 Ωを入れてみると
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これならあまり問題なさそうです。実際にはコンデンサの内部抵抗もあり、それを入れると Q はさらに少しだけ低くなりました。しかしこの回路定数ですと、カットオフ周波数が可聴域を超えています。もう少し低い領域までフィルタをかけないとあまり意味がないのでは、と、基板に載せられそうなサイズでもっとインダクタンスの大きいものを探してみたところ、TDK から良さそうな 22μH が出ていました。これの内部抵抗が 1.25Ωです。コンデンサも現実的な範囲で大きくして、シミュレータにかけてみると
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これは良さそうです。Pi フィルタの Q は直列抵抗に非常に敏感なんですね。このフィルタを少なくとも 5V 電源にはつけてみたいと思います。+-12V 電源部に付けるかどうかは悩ましいところです。
ちなみにこの TDK のインダクタは大きさが 2012 サイズです。こんな大きさでインダクタが作れるとはすごいと思います。電流も 100mA 流せて今回の用途には十分です。