VCO 設計試行錯誤中

VCO 2&3 の設計を開始しています。せっかくだから、回路の何を変えると音にどう影響するのか、かねてからの疑問だったので、ていねいめに試作をしています。

vco-proto.jpg


設計は、あまり奇抜なことはやらないことを方針にして、そのかわり、回路をどう選別すると音がどう変わるか納得しながら進めてゆきたいです。

ということで、設計の基本は最も普通なリセット型にしたいと思います。モデル的に考えるとこんな風になるかな。
reset-vco-model.png

基準の回路
まずは基準になる回路がないと何も比較できないので、いつもお世話になっているmasa921さんの Doepher が元ねたというこの回路
http://masa921.hp.infoseek.co.jp/image/kairo/resetvco.gif
から、発振部を切り出してきて、こんな回路をブレッドボード上に組みました。

dopher.png

発振用 C の値
まず気になるのは、C1 の大きさです。色んな回路図をあさっていると、0.001uF のものと 0.01uF のものを比較的良く見ます。現代のアナログシンセでは 0.001uF が主流という印象がありますが、では、音はどう違うんでしょう?音の世界は百見は一聞にしかず、とよく言うので、とにかく聞いてみましょう。
0.001uFの音
0.01uFの音
…うーん、私にはききわけられません。
ということで、C1 の値は、手持ちにその値のポリプロピレンコンデンサがあるといういいかげんな理由で、0.001uF に決定!

バッファの方式
すでに完成している VCO1 は、実は Moog 921 の回路をかなりまねしたものです。そして、完成してみると、その出音がとても気に入ったので、いったい何が良いのか、切り出せる要素を切り出してみたいと思います。

Moog 921 の VCO は、やはり前述のモデルにあてはまるようなリセット型なのですが、バッファが CA3080 を使った独特な設計になっています。実験回路を差し替えるなら、こんな感じになります。
921buffer.png
なぜわざわざ OTA を使ってこんなボルテージフォロワを?と疑問に思います。もしかして 921 が設計された当時は速くて安いオペアンプがなくて、この回路が性能と価格のバランスがすごく良かったのかな?と思います。

さて、この回路もちゃんと組みましたよ。ちゃんと発振もしました。
では、波形を見比べてみましょう。
buffer-072.jpg TL072 バッファ
buffer-3080.jpgCA3080バッファ

微妙に違います。CA3080 版では、リセット時にちょっとだけ波形が乱れます。
では音は違うでしょうか?
TL072バッファ
CA3080バッファ

…皆さんわかりましたか?私にはわかりません。
生音を聞いているときには、「あれ、若干3080のほうが線が細いかな?」と思うことありましたが、録音したらもうさっぱりわかりません。気のせいか、録音したらつぶれてしまう程度の差でしかないかどちらかと思われます。

どっちにしてもそんな微妙な差を追求しても空しいので、バッファは TL072 で十分!という結論にします。CA3080バッファは面白いのですけれども、安くて高性能なオペアンプがある今となっては博物館ものなのかなー?

ここまでの結論
色々試して結局 Doepher のシンプルな回路で今のところ十分、というのがここまでの結論です。(ここまで読ませておいてごめんなさい、な結果ですが、検討結果にはさからわないほうが良いかと…)

(続く)

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