キーボードコントローラを試作しなおしました。
ねらいはチャタリング対策と万年ポルタメント解消です。
設計しなおしたキーボードコントローラの回路図は以下。
前回の設計からの変更点は、
1. U1 のバッファを入れて CV スイッチからのインピーダンスを小さくした。(万年ポルタメント対策)
2. U3 シュミットトリガーを入れた。
U3 まわりのシュミットトリガーは重要な役割を果たしていて、以下の働きをします。
– ゲートトリガーの立ち上がり部を整形
ゲートスイッチの内部抵抗が高いなどの原因でスイッチオン時の立ち上がりが鈍くても、この回路で立ち上がりを鋭く整形してしまう。
– チャタリング対策
ゲートスイッチはチャタリングが出やすいため、シュミットトリガー回路の入力に C4 を入れることでチャタリングを吸収してしまう。
– ゲートディレイ
スイッチのタイミングをいくら調整してもポルタメントが抜けないため、C3 S/H に CV が充電され終わるまでゲートの立ち上がりを遅らせる。これもシュミットトリガーと C4 を使って遅らせている。
試作時には、実際に弾いてみながら C2, C3, C4 の値を決定した。C2, C3, C4 の値を決めるときの注意点は以下。
C2 : キーを離してから S/H のスイッチ Q3 が完全に閉じるまで CV の値を保持する。小さすぎると、キーを離したときのピッチが不安定になる。大きすぎると、充電に時間がかかり意図しないポルタメントが発生する。
C3 : ピッチが不安定になる直前まで値を減らすと意図しないポルタメントが出にくくなる。
C4 : ゲート立ち上がりの遅れ時間をここで決める。値が大きいほうが音は安定するが、大きすぎるとキーを押してから音が立ち上がるまでの遅れ時間が大きくなり弾きにくくなる。
千石で入手したジョイスティックをベンダーレバーとして使ってみるが、遊びが大きすぎるため CV がドリフトしてしまい、いまいち。本番では別のデバイスを使うことにする。
図に書いて眺めてみると、シュミットトリガーの電圧配分がギリギリですね。試作では R11 が 96k で分圧を計算するとかろうじて動いているという感じです。R11 は小さいほうに変えると Q3, C3 の S/H に干渉しかねないし、R12 は C4 と組み合わせた遅延回路にメジャーな影響を与えるので、R6 が比較的触りやすくここをもう少し大きくしたほうが良いかもしれません。
こちらでは初めましてでしょうか。
ベンダーの遊びによるCVのドリフトを防止するためにはダイオードを使って0V付近の感度を鈍くするのが普通です。
たとえば、下のProOneの回路図で、上のほうにあるPitch Wheelの周辺を見てみてください。
http://machines.hyperreal.org/machines/manufacturers/Sequential/Pro-One/schematics/pro1-schematics-b.gif
あっ!ダイオードですか。Hoshu さんコメントありがとうございます。早速試してみたところ良い感じ、これで行けそうです。すぐに部品の精度に頼ったりせずまずは手持ちの部品で解決できるか工夫するのが大切ですね。
お役に立てて何よりです。今後の進展、楽しみにしています。
凄いな、houshuさんのナイス・リカバリー。
です。hoshu さんさすがです。ありがたかったです。
minimoogのベンダーまわりの電圧について、オリジナルだと0~+10V(実際は可動範囲が物理的に限られるのでもっと狭い)なのを0V中心に直して安定性を上げる改造のサービスシートがMoog社自身から出されているんですが、ここにも同様の回路が見受けられます。ご参考まで。
http://www.synthfool.com/schematics/minimod.jpg