エンベロープジェネレータの基本部分の実装をしています。エンベロープを計算で生成する主な目的は、アナログ回路では実現困難なエンベロープを発生させることです。どうしてもやりたいことの一つに、エンベロープに「はじいた感」をつけることがあります。これはコンデンサの充放電で作るエンベロープジェネレータの苦手とするところです。
とはいえ迷子にならないようにまずは基本の ADSR から実装しました。ADSR ではじいた感が目いっぱい出るように曲線を調整したのた下の形です。ADSR といえばこれ、というような非常に見慣れた曲線です。

出音はどうなるかというと、ADSR を使って速い演奏ではじいた感を出そうとすると、どうしても減衰が速くなりすぎてバンジョーみたいな音になってしまいます。これはこれで悪くはないんですが、ADSR だとこれしかできないのが悩ましいです。
僕はこの音を聴くと「アナログシンセの音」だと感じてしまいます。Analog3 の目的は脱アナログシンセ感なのでここは頑張りどころです。
バンジョー感を取り除くには、減衰部分を緩やかにする必要があります。しかしはじいた感を残すにはアタックの直後の減衰は速くないといけません。これを行う昔からある方法は、ディケイを二段階に切り替えて曲線に変化をつけることです。PCM ピアノが登場する前のアナログの電子ピアノはそうやっていたそうですし、DX7 のエンベロープもこの方法で従来より複雑な曲線をつけています。そういうわけで、ADSR ならぬ ADDSR をやってみたのが以下です。アタックの直後は急激に落ちますがそのあとはゆっくり減衰します。

出音は、はじいた感を強調しすぎたためバチバチ音がすごいですが、はじいた感じはありつつもきちんと音が伸びています。
やはり雰囲気、昔のアナログ電子ピアノや DX7 に似た感じになりますけれども、エンベロープは途中で急激に変わるわけで、どうもアタック部分をとってつけたような不自然な感じがします。もう少し緩やかに変化できないでしょうか?
以下の曲線は ADSR ですが、ディケイの段階で、振幅が大きいときには減衰が速くなるように減衰率を動的に変化させています。アタック直後の減衰はやはり速いですがその後緩やかになります。この方法が既知ですでに出回っている方法かどうかわからないのでとりあえず「ディケイ歪み」と呼んでます。

出音は以下の通り、アタックをとってつけたような感じはなくなります。はじいた感じもしっかり出ています。
音としてはこれは良い感じです。この方法のもう一つ良い点は、減衰率の歪みのかかりを小さくすると通常の ADSR と同じになるところです。従来の方法を捨てる必要はありません。
欠点は、調整が難しい点です。減衰の長さを同じにしたままアタック直後を鋭くするには複数のツマミを回さないといけません。直観的に操作できるようにする方法がまだ見つかっていません。計算方式、確かに自由度が高いですが楽器としてうまくまとめるのはかなり遠い道のりです。
