
写真で見てわかるように、今作っている VCA ユニットはそれ単体でモジュールというわけでもなく、VCA モジュールを作るにはこのユニットにさらにユーザインタフェースをかぶせないといけません。なんでそんな回りくどいことをしているか、理由はいくつかあるのですけれども、結局一言でいうと、「数をたくさん作りたい」につきます。以下、今考えていることをつらつらと
パラメータを増やしたらパネルがパンクしてしまう
結局これが Analog3 の原点です。アナログシンセのインタフェースは、可変抵抗を直付けするのが一番楽ですからどうしてもインタフェースと音源回路が癒着しがちです。パラーメータを増やすと必ずツマミと一対一の対応が取れなくなり、物理的な可変抵抗でなく、もう少し抽象化したインタフェースが必要になってきます。では抽象化したインタフェースでアナログモジュールを制御するにはどうするか?しぜん電圧制御になります。電圧制御で行うことは大きく分けて二つ、モジュールに「電圧を直接注入」するか「モジュールに入る信号の大きさを電圧制御」するかです。後者を行うには VCA が必要、ということで、Analog3 では VCA を大量に作る必要が出てきます。
ポリフォニック化したい
Analog3 プロジェクトとして作り始めたモジュールはデュオフォニック対応です。ゆくゆくはポリフォニック化したいです。ポリフォニック化する場合もパラメータを増やす場合と同様、可変抵抗を回路に直結できません。ここでも音源は完全に電圧制御できないといけません。結果 CV を他のモジュールに入れる場合必ず一旦 VCA に通す必要があります。
その他雑多な考え
あれ?書いてみたらこれだけ?色々考えていたつもりでしたけれども文字にするとたいして理由は多くないのですね。とにかく、たくさん VCA を使う場合小さく定形で作れば基板のルーティングがやりやすいし、仕様を標準化すれば回路設計の負担も減ります。何かとユニット化は利点が多い。あと大量に作る VCA を一個一個調整していたら収集つかなくなりそうで、そのための無調整設計です。
でもなんで OTA や専用 IC を使わないか?OTA といえば LM13700 ですが、VCA 用途では無駄な部分が多くあまり使いたくないのが正直なところ。他の OTA で今手に入るものはあるのかな?昔高周波用途で出回っていた記憶があるので一度調べてみるのも良いかもしれません。専用 IC は入手性から使いたくありません。僕は手が遅いから Analog3 も何年かかるかわかりません。伝統的にシンセ用 IC は結構すぐにディスコンになってしまいます。今手に入るものでも三年後には手に入るかかなり怪しいです。プロジェクト中に重要部品がディスコンしてしまうのは避けたいです。だったら汎用の部品を使って自分で供給しちゃえ。という考えです。
と、手こずりながらも作っている VCA ユニットですが現在の出音はこんな感じ。Analog3 の結構大きな動機の一つに「本当に弦をはじいているように感じるような音をアナログシンセで出したい」がありますが、それに向かって前進しているなと感じています。とにかく足元から固めて行かなくては。