Mutable Instruments Rings のパネル製作

Mutable Instruments の Rings 製作に挑戦中ですが、どこまで「自作」するか迷います。人気モジュールなので、製品またはクローンなど完成品を買うところから始まって、設計が公開されているのでそれをもとにパネルや基板も多数出回っているのでそれらを買ってきて組み立てることもできるし、公開資料をもとにクローンを作ることもできるし、回路図をもとに独自の基板やパネルを作ってもいいわけです。

僕の場合、基板はとりあえず置いといて、パネルはどうしましょう?んーなんか、面白そうだから作ってみるかな?ということでパネルの製作にも挑戦。基板はしょっちゅう作るのである程度慣れていますが、パネルはど初心者、オリジナルのデザインもただただいいなと思うだけで自分の案などないので、せっかく公開されているんだしオリジナルのまま作ることにします。でもどうやって?

公開されている rings のパネルデザインはここで入手できますが、ファイルタイプ ai とか dwg てなに?恥ずかしいけど聞いたことないです。調べたら、ai は Adobe Illustrator で使われている形式、dwg は Autodesk CAD のファイル形式だとか。どっちも持ってないよ?

調べてみると、ai ファイルは svg などのベクターフォーマットの画像ファイルに変換できるとのこと。それなら Inkscape で読めます。dwg は、LibreCAD で読み込み編集が可能とのこと。あ、それなら持ってます。

というわけでさっそく ai ファイルを svg に変換して Inkscape で読んでみます。やっぱりいいなあこのデザイン。これをもとにパネルを作ることにします。本来はアルミ板に穴を開けて印刷するべきだと思いますが早く楽にやりたいのでプリント基板として作ります。

しかし、PCB として作るなら辺や穴の位置寸法は正確にしないといけません。この svg ファイルから正確な穴位置を出すのは大変そうです。ということで、dwg ファイルを見てみましょう。LibreCAD で開いてみると、見られました。

パネルと基板の外形、穴の位置、ツマミの大きさなどの情報が入っています。これは助かります。これをまずは KiCAD に取り込んでその後にパネルの図案を重ねることにします。まずはこの CAD データを KiCAD の理解できる dxf ファイルにエクスポートします。そして、KiCAD のフットプリントエディタを開いて dxf ファイルをインポートします。なぜか Dimension レイヤの情報が落ちてましたが必要ないので大丈夫。

全レイヤのデータが選択した Edge.Cuts に集まってしまいましたがめげずに必要な基板の外形と穴と参考にするツマミの外周情報を残して全部消去します。ツマミの外周は F.Fab レイヤに移動します。

よーく見ると穴情報の右端になんかヒゲがついているのでこういうのも見落とさず消していきます。こんな感じになりました。

一応穴のサイズが大丈夫か確認します。基板が出来上がってから穴の大きさが違っていたら大惨事です。3mm の LED 穴の半径が 1.55mm ...大丈夫ですね。他の穴も大丈夫なことを確認しました。

ここまでは下地作り、この上にパネルの図案を重ねます。ここから先は試行錯誤しながら何度もやり直したので作業内容を全部書くと煩雑になるのでどうしたか概要だけ。まずは Inkscape でまずそうな部分を修正します。具体的には、プリント基板は基本白黒印刷なので、ツマミ裏の模様がツマミの名前と重なると読めなくなるので重ならないように修正しました。修正後、svg ファイルを KiCAD の Footprint Editor に取り込みます。

ちなみになぜ PCB Editor ではなく Footprint Editor を使うかというと、この画像取り込みをするためです。SVG 画像の原点は変な場所にあったのでいきなり重ねることはできず、わきに置いてから移動して位置合わせしました。

こんな感じです。実はここから先の作業が一番時間がかかったのですが、いらないゴミを取り除いたり、色合いを少し弱めにしたい部分をシルクスクリーン(黒)からカッパー(実際にはスズメッキがかかって銀)に動かしたり、ゴミを取り除いたりと、ちまちま作業していきます。

出来上がってきたら、PCB Editor から作ったフットプリントを取り込んで、drc をかけてファブに拒絶されてしまいそうな問題を見つけては Footprint Editor で修正をしてアップデート、の繰り返し。最終的にはこんな風になりました。

Frequency ツマミのギザギザわっかが文字にかぶるのを修正する手間があまりに膨大だったので心折れて外しちゃいました。寂しい感じになりましたが、実際にはここは白地に銀の模様であまり見えないのでそんなにひどくはならないと思いたいです。文字(シルクスクリーン)と模様(カッパー)が重なるとファブに拒否されるか文字が消されるか、そのまま出来上がると多分見た目的に汚くなる可能性が高く、どのみちかぶせないのが無難です。

ちなみにこの部分の問題は他のメーカーでも困るらしく、対処は、模様はそのままに文字位置を下にずらす(それはやりたくなかった)、模様はつけない(いいんだけどちょっと寂しい)、独自の模様に書き換える(僕には無理かも?)とまちまちです。まあやっぱりアルミ板にカラー印刷できればそれが一番良いと思うのですが。ここどうなるか仕上がりを見てみたいと思います。

つづく

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