909 クローン製作のための部品の手配が済みました。部品点数がかなり多いしそれほど作業時間も取れないので何週間もかかるかと思いましたが、五日ぐらいで済みました。速いとは言えないけれども思ったよりは時間がかかりませんでした。部品到着を待つ間に製作の方針を大まかにたてようと思います。
入手先は eBay、Digi-Key、Mouser、Jameco からです。Jameco は趣味の電子工作向けの部品に強いご近所にある小売店なんですけれども(でも今はコロナのせいで店頭での部品の受け渡ししてもらえません)、analog さんも Jameco はよく利用していて面白い品ぞろえが好きだったそうで、「なんか引っ越したら近くに Jameco があってびっくりしましたよ」「まじですかいいなー」なんてやり取りを日本に戻った時にしてました。
クローンなんていうと、ただコピーするだけ、簡単だろ、なんて思っちゃう人ももしかしたらいるかもしれません。でも元の機材の音を忠実に再現するなんて、そう簡単にできるものではないんじゃないかと思います。コピーするといったって、まったく同じ部品が使えるわけではないし、仮に同じ部品を使ったとしても、手に入る回路図やサービスマニュアルには書かれていない注意点などもあったりするわけで、つまり元の設計の意図をよく理解して自分なりに設計し直す、ということに近いんじゃないかと思っています。クローンを設計したことがない僕がなんか偉そうなこと書いちゃいましたけど、analog さんの話を聞いていてそうなんだろうな、とよく思っていたし、今回の部品手配でも、やっぱりそうなんだろうな、と思いました。
上の写真は部品リストの最初のさわりの部分です。半導体から始まっていますけれども、特にトランジスタは音質を左右する重要な部品、備考に細かく注意書きが書いてあります。部品の手配の際にも半導体は全種オリジナル通りには入手できず、こういった注意書きが代替品を探すときの助けになりました。特性そろえの注意書きもあって、部品一個一個吟味しながら、注意深く再現していったのだな、ということがこんなところからもわかります。analog さん「回路図を見ただけではクローンはとても無理、結局実機を開けて中を調べないとわからないことがたくさんあるんですよ」と言っていました。これからそれがどれぐらい読み取れるかなあ。電源用の IC のところの「低ドロップ5V三端子reg」の注意書き一つとっても深いです。これは電源部を作るときにまた記事を書きたいです。
ちなみにトランジスタですけれども、驚くことに、全部指定通りの型番の手配ができました。主に eBay 経由で、米国・中国の販売元が半々ぐらいです。IC はいくつか代替品を探す必要がありました。あと、トランジスタを探すうちに、うっかり詐欺にもあったっぽい。まあこれはまだ片付いていないのでそのうちに。
部品の手配は、正しい値のものを使うだけではなく、その部品が基板にきちんと載るかも留意しないといけないので一個一個データシートを確認したりして、注意深く部品を選ぶ必要があります。それでもその部品を使って大丈夫なのかよくわからないこともままあります。特にコネクタ、ボリューム、スイッチのような形状が多様にあってしかも実装上制約が多い部品の手配はむつかしいです。そういうところでは、説明書に完成品の写真が載っていて、ここぞという場所が写っています。これもまたすごく助けになりました。見てくださいこれ
本当に考え抜いて設計してあるなあというのと、手書きの説明に彼の親切さがにじみ出ているなあというのと。やっぱり作り始めてよかった。まだほんの始まりですけれども。こういうことを analog さんにいうと「わかる?」という感じでニヤッと笑ったりするのが好きだったんですけど。まあまあそれは。想像で補うことにします。