Analog3 プロジェクトではデバイス間通信をアホほどやるのでロジックアナライザがないと開発が簡単に行き詰まってしまいます。現在 Saleae の Logic 8 を使っています。非常に使いやすくて気に入ってはいるのですが、プロジェクトで使う通信がだんだん高速化してきて先日ついに測定できる限界を超えてしまいました。そういうわけでもっと高い周波数まで測定できるロジックアナライザを探しています。
Saleae の Logic 8 は毎秒 100M サンプルまで取れるとうたっていますが、実際には 25M サンプルぐらいで頭打ちです。ちなみに僕は 4 から 6 チャネルぐらいを使うことが多いです。このサンプリングレートだと、ナイキスト周波数の 10MHz ちょっとぐらいまでの信号しか測れません。先日 SPI クロックの速さがついにこれを超えてしまい、そこは測定できずデバッグ時にはクロックを落とすなどしてごまかしていましたが、クロック周波数の高い時だけ出る問題が発生してついにロジアナが使えない状況が発生しました。てな感じで、もっと速いアナライザが要ります。が、Saleae の上位機種はかなり高価です。もう少し安いものを探してみましょう。
あちこちあさってみたところ DreamSourceLabo の DSLogic というものがあることがわかりました。毎秒 400M サンプルだと宣伝していますが、Saleae だって宣伝している速さが出たことありません。安いものではないし、買ってから Saleae と変わりませんでした、は避けたいです。大丈夫なんかな、と迷っていたところ、非常に助けになる動画が見つかりました。
46 分と長い動画ですが、プローブが他のアナライザと違っているところなど非常に詳しく説明されていて、また具体的に 100MHz の矩形波を測定しているところなども含まれたりしていて見て楽しかったしこれなら大丈夫そうな感じがするという感触もつかめました。ちょっと古い動画で中で言われている値段よりも現在はかなり上がっていますがそれでも性能のわりに廉価だと思います。手配することにしました。
ところで、ウェブサイトから拠点が見つけられず「どこ製?まあ中国だよね」と思ったら動画の中の人が中国だと言っていました。まあそうだよね
追記:2025年8月28日
注文していた DSLogic Plus が届きました。開けてみると、本体が思ったより大きいです。そして、取説が中国語!

読めないんじゃないかと一瞬焦りましたが、取説をひっくり返して見たら英語版もあってホッとしました。そして YouTube 動画で説明があった通り、ケーブルの形状が独特です。

取説の一項目目が、「この URL に行ってソフトウェアをダウンロードしなさい」だったので早速ダウンロードサイトへ。またもや中国語です!まあでも大筋雰囲気でわかります。どきどきします。

ソフトウェアも中国語だったらどうしよう、と不安でしたが、インストール時にちゃんと英語版の選択肢がありました。ちなみに選択できる言語は英語と中国語だけです。
ソフトウェアの使い方は大筋 Saleae の Logic と同じなので、それほど苦労することなく設定できました。早速、まず周波数が 1MHz と楽なミッションコントロールからの CAN 信号を観測してみます。ちゃんと読めました。

見やすさや操作性は Saleae の Logic が断然上ですが、できるべきことは全てできているので問題ないでしょう。操作性も慣れてきたらそれほど苦にはならないと思います。
DSLogic にあって Saleae にない独特な機能として、バッファモードという動作モードがあります。これは、測定中はデータをデバイスに蓄積して、測定後に PC に送信するモードなようです(動画でもそう言ってましたけど聞き流してました)。このモードでは、測定のサンプリング周波数が USB の制約を受けないという利点があります。ただし測定時間に制限ができてしまい長時間の測定は無理になります。
次に Saleae Logic 8 ではサンプリング周波数の限界のため (25MHz が限界) 測定できなかった Raspberry Pi から CAN コントローラへ指示を送る SPI 信号を観測してみます。CAN コントローラは 20MHz クロックまで受け付けますが誤動作してしまうため今は 16 MHz まで落としてあります。それでも Saleae では読めなかったのですが、DSLogic ではどうでしょう?サンプリング周波数を 50 MHz にとってバッファモードで観測したところ、きちんと読めました。TX FIFO にデータを書き込んでから送信の指示を出しているさまをしっかり観測できて感激です。

結論、DS Logic Plus は Saleae Logic は、Saleae よりずっと高い周波数でサンプリングできる点で実用的なロジアナだと思います。Saleae のようなかゆいところに手が届く操作性の良さはありませんが、「これができなくて困る」というようなことは今のところなく、むしろ Saleae の方ができないことが多いです。
これは良くない、と思うことも少しはあって、付属のクリップはあまりにちゃちで全体に大づくりで、使いにくいことこの上ないです。適合するクリップがあるなら取り替えたいです。

ケーブルが固めなのも使い勝手に影響していてここも少し良くないし、何となく耐久性が心配になる使用感です。でも耐久性はしばらく使わないとわからない点です。一年後ぐらいに追記を入れるかもしれません。
何にしても、値段を考えると大変な優れものだと思います。