今、所有している機材の整理をしているところですが、大変困っているのが、CNC を使うにはパラレルポートが必須だということです。今 CNC を使うためにパラレルポートのある PC が一台あるのですが大変に古くていつ壊れるかわかりません。壊れたら直るかどうかもわからないです。機材整理の機会に CNC 制御は新しい PC に移行したいところ。しかし新しい PC はラップトップで外部へのインタフェースは USB しかありません。(実はその USB も不安定で困っていますがそれは別の話)
そういうわけで、CNC のパラレルポート脱却について調査を開始しました。まだ全然解決していないので進展があるごとにこの記事を更新して行こうと思います。
使っている CNC は、オリジナルマインド社の mini-CNC BLACK 1510 という大変古いものです。この CNC を動かすのに Mach3 というソフトウェアも必要です。このソフトウェアもパラレルポートを使うのが基本でパラレル縛りの一要因になっています。どんな解決法があるか、まずはメーカにメールをして相談しました。可能性のある方法として提示していただいたのが、
- UC100 という USB-パラレル変換アダプタを使って Mach3 で駆動する
- USBCNC というソフトウェアを使って BLACK 1510 のモータを駆動する
- モータコントローラを付属の CNC-4AXIS からオリジナルマインド社の新しいコントローラ TRA100 に取り替える
このうち、三番目の方法はうまく行くが他の方法ではうまく行かないそうです。接続の経路は
PC→(USBケーブル)→TRA→各モーター、原点センサー
使うソフトウェアは、Mach3 の代わりに USBCNC を使うとのこと。問い合わせて教えていただいたことは以上です。これを実際に自分で調べるとかなりの費用がかかってしまうので貴重な情報です(UC100 も USBCNC も TRA100 も入手に費用がかかります)。感謝。
しかし USBCNC と TRA100 を購入すると費用は 10 万円を超えてしまい少しお財布に厳しいです。最終的にはその手があるとして、もう少し少ない費用で PC 移行する方法も探してみたいところです。調べたところ Mach3 に接続できる USB モータコントローラが存在するようです。また、Mach3 を使う代わりに grbl というソフトウェアを使うという可能性もあることがわかりました。こちらは Arduino からモータ制御するものなのでパラレルポートどころか PC が要りません。まあデータを送ったりとかはありますけれども。
今のところ考えられる CNC を使い続ける選択肢は以下です:
- 古いパラレルポート付きの PC を維持する
- PC: デスクトップの古いやつ
- ソフトウェア: Mach3
- モータコントローラ:パラレル
- かかる費用:0 (PC が壊れるまでは)
- 手間:ない (PC が壊れるまでは)
- リスク:中よりの小(PC が壊れなきゃ OK。場所を食うのは我慢)
- モータコントローラを TRA にする
- PC: USB が使えれば何でもいい
- ソフトウェア: USBCNC
- モータコントローラ: USB (TRA100)
- かかる費用: 10万円+
- 手間:小 (コントローラ交換、ソフト購入、ソフト設定)
- リスク:中 (システムは変更されるが動作は検証されている)
- モータコントローラを USB・Mach3 対応のものに取り替える
- PC:USB が使えれば何でもいい
- ソフトウェア:Mach3
- モータコントローラ:例えば Mach3 USB Interface Board
- かかる費用:ボード代 2-3000 円 + 多分外付け回路少々
- 手間:大(接続方法考案、動作検証、コントローラ交換、Mach3 設定)
- リスク:大
- Arduino で CNC を動かす
- PC: CNC にはいらないが Arduino とのやり取りに必要。つまりなんでもいい
- ソフトウェア: grbl
- モータコントローラ: Arduino CNC Shield
- かかる費用:ボード代 1-2000 円 + 多分外付け回路少々
- 手間:大 (接続方法考案、動作検証、コントローラ交換、grbl 設定)
- リスク:大
こうやって並べると甘い話はないなと思います。まあ PC が壊れるまでほっといて今のまま運用が一番楽ではあります。でかい PC は置き場に困りますけれどもね。
先に進むにはまずはコントローラと繋ぐものは何か整理が必要です。
- ステッピングモータ 6線式 (x, y, z)
- スピンドルモータ (一個)
- 原点センサ (x, y, z)
Mach3 対応のコントローラボードを使うとしたら候補は今のところこれです。RNR Motion Control と呼ばれているものらしいです。
かなり詳しい使用説明がついているので助かります。おおもとは中国製っぽいです。日本でも米国でも比較的容易に入手できそうです。
grbl はこちらで公開されています。
この場合、Arduino V3 CNC Shield をコントローラボードとして使うのが良さそうです。これについての詳しい仕様は探し中です。こちらも日本でも米国でも入手可能そうです。
そしてオリジナルマインドから製品を grbl で使うための資料が公開されています。6線ステッピングモータの接続方法や原点センサの接続方法などが書かれており、非常に参考になります。
https://www.originalmind.co.jp/special/mechatronics/arduino
今のところ話が非常にとっ散らかっています。少しずつつめてゆきたいと思います。ということで本日はここまで。
さらに原点センサについての参考:
https://www.fa.omron.co.jp/product/item/EE-SX671
続き:2025年8月21日:ステッピングモータについて調査
近々引っ越しするので CNC を分解してしまいました。こんな状況で検討するなんて間抜けですが、モータコントローラを取り急ぎ手配したいと思い箱からモータだけ取り出して型番をチェックしました。

KP6AP8 旧日本サーボ、現ニデックアドバンスドモーター社の製品のようです。データシートは見つからなかったのですが、ラベルにある通り 12V 入力、内部抵抗20Ωのユニポーラ型のステッピングモータのようです。 入手できそうなモータコントローラは全てバイポーラ型なので、ユニポーラ型のモータを何とか使えるようにしたいところ。前述したオリジナルマインド社の案内にも「できる」とは書いてあるのですが、具体的な接続例はあるものの、モータのどの種類の端子をつないで何Vの電源を使えば良いか、というような応用のきく情報はありません。そしてこのモータの情報もない。ですので、もうちょっと調べないといけません。ChatGPT に聞いてなんとなく感触はつかめましたけど真偽に関してはわからないので説明の書いてあるウェブサイトを探したところ、ありました。
https://www.pololu.com/docs/0J88/all
簡潔に大事なところを網羅していて良いページです。電源は 12V のものが手持ちにあるがバイポーラとして使ったら 24V にしないとならんのかしら?という疑問はこのページで解けそうです。
(ここに補足説明を後で)
スピンドルモータも 12V なので、トルクの問題があるにしろまずは 12V 電源を試したいのです。正直 CNC を使ってトルク不足を感じることもありましたけれどもきちんと組み立てれば問題ないし、何か変えるときには一度に一か所ずつが原則です。コントローラと電圧両方一度に変えない方が良いと思います。
続き:2025年8月29日 RNR Motion Control ボード
CNC を稼働させるソフトウェアとして Mach3 が使えれば今まで通りの操作で作業ができるので好都合だろう、と考えて、RNR Motion Control ボードを入手しました。これは Mach3 USB Interface Board という名前でも出回っており、いろんな製造元が同じように見える設計で販売している割におおもとの出所がどうしても見つからない不思議なボードです。このボード用の dll ファイルを Mach3 のプラグインフォルダに入れると Mach3 からパラレルポートの代わりに USB を使ってこのボードを制御できます。ものが届いたので開封してみると、CD-ROM入り。中身はかなり重要で、CD/DVD ドライブまだ持っててよかったです。CD-ROM の中にはマニュアルや各種ソフトウェアが入っていますが(エッこれ大丈夫なの?の海賊行為も)、本ボードのマニュアルは中国語です。基本的に読めないんですけど、上記で紹介したリンク先に英語での説明があって大筋が頭に入っていたので、わかる漢字を拾い拾いなんとか読みました。ちなみに、マニュアルも dll ファイルもネットで拾ってきたものではなく付属のものを使わないとダメなようです。たくさん出回っているこのボード、見た目が似ていても中身は微妙に違うようです。コピー品なのかな?したがって当たり外れとかありそうだしマニュアル通りに動かないこともありそうだしで注意が必要そうです。

CNC の知識がほぼないので、必要なものを一個ずつ入手しては一歩進む、無駄投資だった場合あきらめる。という方針でやっていますが、このボードだけでは CNC は動かせないことはわかっています。このボードはステッピングモータを動かす指示の信号を出すだけでモータそのものを駆動する能力はありません。動かすためにはモータドライバが必要。仕様値段の兼ね合いで色々調べて、TB6600 4A というドライバがよさそうだとあたりはつけていますがまだ購入はしていません。そもそも Mach3 とこのボードが繋がって動くかどうかまず確認したかったからです。
Mach3 をインストールして、ボード付属の dll ファイルを Mach3 のプラグインフォルダにコピーします。Mach3 は、キーボードを使って X、Y、 Z 軸を動かす機能があるので試してみると、ボードに応答がありました。なんだか繋がってはいそうです。

念のため、XP (X pull) 出力と XD (X direction) 出力をオシロスコープで観測したところ、信号が来ていました。青線が XP で赤線が XD です。これは、大丈夫そうです。

XYZ 軸のモータはドライバを買えば動かせそうです。TB6600 4A ならそれほど高くはないようです。ですが、ボード一枚にモータドライバ三個、どうしてもかさばってしまうのが懸念点です。CNC 自体が小さいのでどこに取り付けるか少し悩ましい。
次にスピンドルモータです。ボードには 24V の電源と同じく 24V の出力ピンがあるので、直接モータをつないで良いものと思い込んでいましたが CNC の世界ではそんなのダメなことは常識なようです。マニュアルに、出力の仕組みはこうですよ、という説明があったので抜粋。横着して翻訳にかけてませんけどこれって、出力ポートに流せる電流は 60mA なのでモータは直接駆動できないリレイを使えということだと思います。それにしても、モータ用のリレイって 24V もの駆動電圧が必要なんですね。ごついです。

一応マニュアル読めないながらも辿って行って、MDI コード M3 と M5 を使って出力ポートに LED をつないで ON/OFF させることはできました。MDI コードの知識もゼロですが、M3 はスピンドル ON、M5 はスピンドル OFF という意味ということは知りました。これならリレイがあればスピンドルは回せそうです。でも速度調整は?ボードには PWM でスピンドルの回転速制御をする機能があるようですが、具体的なやり方がなかなかわかりません。マニュアルにソフトウェアの設定が書かれているのですが、接続の方法は書かれているのか書かれていないのか今ひとつわからず。中国語だし CNC どしろうとだし。具体例をネットで探してみるもののこれというものは見つからず。でも、どうも VFD (variable frequency drive) という装置が必要らしい。これがまたでかくて高いです。モータコントローラシステムが CNC よりでかくなってしまうのでは?という心配も出てきました。スピンドルの回転速度制御をあきらめるか?というとそれは実用上まずい気がします。ここまでやりましたけど、少し大掛かりになりすぎかもしれない。この方針はいったんここで保留にしたいと思います。少なくとも、うんと頑張ればこの方針で動かせそうな感触は得られました。ゼロ位置合わせに使う入力部の動作確認もした方が良いのですがそれは保留を解除したらやろうと思います。
一方オリジナルマインドのモータコントローラは基板一枚ですべてやってくれます。下の写真で全部です。秀逸な製品なんだということがわかってきました。苦しい苦しいと言いながらパラレルポートを維持し続けるのも人生かもしれません。でも今のパラレルポート機 Windows 7 なんですよね。起動のたびにサポート切れてるから攻撃受けたらやばいよと警告を受けてますが非力なのでアップグレードしたくない。危ないのでネットからは物理的に遮断されていて、つまり CNC のためだけにしか使えないでかいデスクトップ PC をひたすら維持しているわけです。
