読み書きのできなくなった HDD のデータを消去(物理で)

壊れて読み書きができなくなった HDD、子供が小さかった頃の写真とか入っていて悲しいんですがダメになった HDD はもうどうにもならず、データ救助のサービスもあるようですが経験のある友人に聞いたところ何十万円もかかるそうで、さすがにあきらめようと、処分することにしました。しかしディスクに書き込まれたデータはまだそのまま、万一ということもあるのでもうデータは完全に壊れたでしょうと思えるぐらいの施しはしておきたいです。

HDD のデータ消去は全セクタにランダムデータを上書きするというのが普通のやり方ですが、壊れたドライブは書き込みができません。物理で行くことにします。ネットで検索するとハンマーで叩くのは危ないから良くないとかシュレッダマシンにかけろとか AI が色んなことを言ってくる。うるせー AI ってやっぱりバカだろ、と思いつつ納得いく方法が見つからずどうしたらいいか結局わからないのでまずは中を開けてみましょう。よく見るとネジ止めしている箇所があるのでこれを外していけば中が見られるでしょう。

ネジの頭は星形です。Torx と呼ばれるタイプらしいです。どれぐらいのサイズのドライバーが必要なのかわからず調べたら、機種によって違うし一種類で済むことはまずないそうなので、一般的なサイズを網羅したセットを購入。20ドルはせずバカ高くはありませんでした。PC の裏を開けるのに必要な場合もあるし悪い買い物でもないかなと思いました。

HDD は超精密機器です。組み立ては至難の業でしょうが解体はネジを外していくだけ。ネジを回せればできちゃいます。

HDD の金属板を外すとあっさりディスクが出てきました。見るからに精巧な作りです。設計製造はさぞ大変でしょう。壊すために開けるのは罪悪感でいっぱいです。

ディスクは三枚入っていて同じ軸にまとめてねじ止めされています。これをまず外します。また、アームが引っかかってそのままではディスクの取り外しができないので、裏からねじ止めされているアームのアセンブリを取り外します。これであっさりディスクは外れました。ディスクは鏡面になっていてとてもきれいです。これを壊すなんて心が痛みます。それにしてもすごいネジの数です。

アームは電磁力で動かされています。でも思えば電気で「動く」ものはほとんど全部そうですね。アームは軸止めされていて、軸を挟んで反対側にコイルが巻いてあります。

このコイルに強力な磁力を通してコイルに電流を流すとアームが動くようになっています。発想は単純ですが想定通りに動かすのは至難でしょう。すごい作りだなあとつくづく思います。

コイルを挟み込む磁石は対面に二枚入っています。たがいにくっつけると手の力では簡単には剝がせないほど強力です。

ハードディスクは磁気ディスクなのでこの強力磁石をディスクに当てればデータはまず壊れるでしょう。子供のころ録音テープでよくやりました。ということでその方法でデータを破壊することにしました。これをやっちゃうともう子供の写真を取り出すのはまず無理。悲しいですが、他にどんなデータが入っていたか心もとなく危ないので、思い切りよくやってしまいます。年食うと気持ちが後ろ向きになっていけません。写真撮った当時ならそんなのまた撮りゃいいだけとなんとも思わなかったでしょう。「プライスレス」という言葉はなんか好きじゃないですが、こういうのを言うのかな。

というわけで、HDD データの物理破壊、そもそもドライブがいかれていて消去されたかどうかの確認はできないのですがこれで充分と判断しました。ハンマーとかシュレッダとか乱暴なものは要りませんでした。この方法は場合によっては部品を再利用の道もあるかもしれませんし、悪くはないなと思いました。ソフトウェアで消せるなら消去確認もできるしそれでやりますが HDD の廃棄って大体通常使用がダメになってからやるのでソフトウェアで消せないんですよね。

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