VCA の CV 漏れの原因を探る

昨日は、VCA 回路の作動増幅器の初段がアンバランスになる謎を探っていて力尽きました。

上の図の電圧配分、ネット diff_in+ と diff_in- に電位差があるのが CV 漏れの原因になっているところまでは突き止めたのですが、なぜこのアンバランスが起きるのか全然わかりません。Q3A、Q3B のトランジスタのばらつきをまず疑いたくなりますが、この二つはデュアルトランジスタで、そんなに盛大にばらつくのは不自然、試しにこの二個のトランジスタを入れ替えてみても電圧配分は変わらず。これはトランジスタではなく回路の方に何かがあるに違いありません。ですが、回路図をいくら睨んでもこれ以上何も出てきません。全くの謎です。こういう時の気分は絶望的で最悪です。もう基板を作っちゃったのに原因がわからないのでは対処法もわかりません。今のままだとたくさん作って出来不出来は運に任せるしかありません。

これ以上回路図と基板を眺めていても何も進展がなさそうなので、まずはトランジスタのばらつきの可能性を除外しようと、上図の測定をした不均衡の出ている基板から Q3 を取り外して独立にブレッドボード上で差動回路を測定することにしました。

Q3 は BC857BDW という BC557 と同等な性能の SMD デュアルトランジスタです。そのままではブレッドボードに載らないので、足をつけてブレイクアウトボードに載せます。SOIC の 1.25mm ピッチがでかく見えます。めちゃくちゃ時間がかかりました。しんどい作業が続きます。

このトランジスタのマッチングを以下の回路で測定します。VCA 回路と同様のアンバランスが出るかどうか見るという算段です。回路は左右対称である必要があるので、R1 と R2 も実測してマッチングを取ります。

さて実測

ほら、独立して測定したらバランスしとるでしょう?と言いたかったのに、不均衡が出てます。どういうこと?

試しにトランジスタをひっくり返して見ますが不均衡の値は変わりません。やっぱりトランジスタの不均衡ではないようです。では何?

試行錯誤してやっとわかりました。定電流回路からペアトランジスタに流れ込む黄色の線を差し換えたところ不均衡の極性が反転しました。

これはどういうことかというと、トランジスタのエミッタ同士は青線で繋いでいますが、この線の抵抗値が 0 ではないということらしいです。

測定したら 3Ω ぐらいありました。VCA 基板でははんだ付けしているのでそんな抵抗値でないよな?とは思うのですが、差動増幅回路はエミッタ側抵抗の不均衡に非常に敏感だということは最低限わかりました。

やっとつかんだ手がかりです。ここをもう少し追及してみます。

まずはこの抵抗値を排除してトランジスタの影響を見てみます。

問題のエミッタ同士の接続線はブレッドボードに対して接触抵抗があるようで、平行してもう一本追加したら抵抗値が落ちました。

この状態で作動増幅器を再度測定。今度はきちんと均衡になりました。

ということで、トランジスタの不均衡は可能性から除外してよいことがわかりました。では実際の VCA 基板でこのような抵抗値は発生するか見てみます。基板のレイアウトを見てみると、定電流はまず Q3B のエミッタに入り、続いて Q3A のエミッタに入っています。この配線の不均衡が疑わしいといえば疑わしいです。ですが部品ははんだ付けしているわけでそんな大きい抵抗値が生じるのか疑問です。はんだ付けミスでもやってしまった?

原因を特定したとは言い難いですが、CV 漏れが起きたらトランジスタ Q3 周りの配線が怪しいとまでは言えると思います。実際、CV 漏れが起きていた VCA ユニット二台のアンバランスは、Q3 をいったん外してつけなおしたところ治りました。製作は何とか前へ進めそうです。

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