いやあ困った。という話です。
Mutable Instruments の Rings、プリント基板のレイアウトも公開されています。いやあありがたい。ファイルは Eagle 5 形式です。基板サイズはフリー版で扱える 100mm を超えている大判ですが(読むのはできるのでしたっけ?)、実は Eagle 5 はライセンスを持っているので見ることも編集することもできます。ラッキーです。

レイアウトはこんなですから一から引いたらかなりの手間だと思います。また数日かかるでしょう。この中で、どうしても変更しなくてはいけないのは、10μF の電解コンデンサで、ディスコンになっている直径 3mm のものが使われていてこれが手に入りません。手に入る最小の直径は 4mm で、一見大差なさそうですが、大きさ 1.3 倍、面積にすると 1.7 倍で、かなりパタンが厳しくなります。場所によってはスペース的に入らないところもあり、全部 4mm に交換するには部品を裏側に回すほかないのですが、それはカッコ悪いからやりたくない。まあこれについては目算があるので良いのですが、まずはこれをこのまま例えば JLCPCB に発注したら作ってもらえるかな?と、JLCPCB の Eagle デザインルールをダウンロードしてきてそれを使い DRC にかけてみると…

エラー 316 箇所。まじっすか。
あれっちょっと待って、左側のボリュームのパッドおかしくなってない?

えっ何これ?パッドがワイヤに触れてるんですけど。DRC をかけたらパタンが変わった?
そんなことある?と Google 先生に聞いてみたら AI 先生が自信たっぷりにそんなことない、とおっしゃいます。でもげんに目の前で変わったのですよ。まあこういう AI の使い方はあてにならないので自分で調べましょう。DRC のパラメータを一個ずつ見てゆくと、どうやら「パッドの厚みはドリル穴径の 40%ないといけない」というルールに引っかかって強制的に修正されたようでした(詳しい解説記事が見つかりました)。JLCPCB のデザインルールをチェックしてみましたがそんな制約は見つかりません。問い合わせてみるのが良いかもしれませんが、これは多分 DRC ルールのほうを修正すれば良いと思います。しかし、他の問題、シルクスクリーンがパッドにかぶっているエラーが多数。これとか

これとか

JLCPCB では、クリアランスを守ってない文字は消すよと書いているので、本当にやるかはわからないですけど消されても文句は言えないと。こういうのはファブが「よきに計らってくれる」のがわかっているなら良いですが、むしろ問題になりそうなことがわかっているというか、修正する必要がありそうです。「消されても所詮シルクスクリーン」と開き直ってしまうという手もあることはありますけれども。それはそれでエラーが多すぎ、オオカミ少年になって本当の問題を見落としそうで怖いです。
それにしても Rings さっとできるかと思っていましたが難所だらけです。クローンといえども製作は製作なのですね。この後も SMD 部品の取り付けや未経験のプロセッサへのファームウェア書き込みなど心配の種が山積みです。正直基板とパネルは苦労しないと思ってました。