サンワのデジタルテスター、私が使っている道具で、もっとも古いもののひとつです。
確か、シンセの自作を決心した後のことだったはずだから、中学生頃だと思います。
アナログテスターだけでシンセを作るのは、かなり難しい、でも、当時、ディジタルテスターは、一番安いものでも1万円はしていたと思います。小遣いを数か月分ためては、工具一個に使ってしまっていた当時、ディジタルテスターはそうやすやすと買える代物ではありませんでした。
ある年の春ごろ、お年玉とさらに何か月分かためた小遣いを握って、横浜のエジソンプラザへ。一番安いディジタルテスターを買うときの緊張は今でもはっきり覚えています。店の人が「本当に買うのだな、いいのだな?」と念を押さないのがすごく意外でした。あたりまえなんですが。
その後、アマチュア無線をしている叔父さんがくれた、壊れかけの真空管式オシロスコープと、このディジタルテスターが、高校を卒業するまで私の最大の宝物でした。
オシロはさすがにもう処分しましたが、このテスターはつい最近まで現役で使っていました。が、さすがに不調を極めてきて、やむを得ず引退させることにしました。
もう使わないとは思いますが、とてもではないが捨てられません。こういうときあっさり捨てられる性格を獲得したいですが、愛着のある道具を捨てるのはどうしてもできないことのひとつです。