片電源仕様のキーボードコントローラは、こんな感じの設計になりました。
大枠は、minimoog の回路を参考にしています。CV 出力部は楽するためにオペアンプに置き換えました。
それにしても、回路を読んでみるのと実際設計してみるのは違うものです。わかったつもりでいても気が付かないことがたくさんありました。たとえば、minimoog 回路ではキーボードの抵抗ラダーを定電流駆動していて、なんでそんな回りくどいことをするのかなーと思っていたのですが、これ、キーが複数押されたときのための設計なのでした。定電圧駆動では非常に不都合です。ブレッドボードでプロトタイプを組んでみて実際にキーを押すまで気づきませんでした。
この回路、設計の際、以下の2点を前提条件にしていました。
– 片電源で動作する
– 電源電圧が多少変動しても影響を受けない
これには AC アダプターで使えるようにしたい、という動機があるのですが、設計してみたら意外と厳しい条件で、
– CV をサンプル&ホールドする FET スイッチを動作させるため、最低キーの電圧を 3V に設定する必要がある(本当はもっとほしい)。ただでさえ少ない使用可能電圧レンジが狭まってしまう。(スイッチにリードリレーか MOS FET を使えば解決するはずですが)
– ピッチベンドの電圧がドリフトしないようにするためわざわざ定電圧デバイスが必要
– 定電流電源の制御が電圧レンジを食ってしまうのを低く抑えなくてはならない (3V ぐらいにした)
– 安いオペアンプ TL082 が使えない
など、難しいところがいくつかありました。そのわりに考えてみるとキーボードは当分両電源の本体としか組み合わせる予定がないので、片電源にするメリットは当面小さく、がんばる気力がだんだん萎えてきました。
ということで、片電源版は設計のみにして、実際は両電源で作ると思います。いらん制約はつけるものでないです。こうして両電源のありがたみがよーくわかったのでした。