gaje

2006/03/16

アンチログ回路勉強中(その2)

Filed under: 制作記録 — タグ: — Gan @ 2:34 AM

さて、前回のアンチログ回路の記事の続きです。温度補償回路はどう働くのか、ということをまとめました。すっきりとまとめるのが難しくて数式の多いごちゃごちゃな話になってしまいました。

温度補償アンチログ回路

下の図は、良く見かける温度補償アンチログ回路です。さて、この回路がどういうふうに温度補償になるのでしょうか?

balanced_exp.png

この回路の読み方はいろいろあると思うのですが、私が理解しやすかったのは、基準電圧 er から、イマジナリアースになっている2番ピンに流れ込む電流が、Q1 によって制御されている、というところから順に追いかけてゆくやり方です。Q1 エミッタが U1 出力につがっているので、エミッタ電圧 ee が能動的に制御されます。ここから

  er / R3 = ic1
= a1 * Is1 * exp(q / (l1 * k * T) * Vbe1)
= a1 * Is1 * exp(q / (l1 * k * T) * (ei' - ee))  (1)

これを展開して

  ee = ei' - (l1 * k * T) / q * log(er / (R3 * a1 * Is1))   (2)

一方、Q2 側は、

  ic2 = a2 * Is2 * exp(q / (l2 * k * T) * (0 - ee))
= a2 * Is2 * exp(q / (l2 * k * T) * (-ee))    (3)

l1=l2=l と仮定して式(2)と式(3)をあわせて整理してゆくと、以下のような関係式が出てきます。

  ic2 = (a2*Is2)/(a1*Is1) * (er/R3) * exp(-q / (l * k * T) * ei')
= (a2*Is2)/(a1*Is1) * (er/R3) * exp(-q / (l * k * T) * (R2 / (R1+R2)) * ei)  (4)

前回の記事で記述したように、Is は温度変化の影響を強く受けますが、Q1 と Q2 で特性の良くそろったトランジスタを使えば、a1 = a2, Is1 = Is2 とみなすことができ、式(4)から温度影響の強い Is を追い出すことができます。

  ic2 = (er/R3) * exp(-q / (l * k * T) * (R2 / (R1+R2)) * ei)  (5)

つまり、温度補償回路のミソは、Is の影響を除去してしまうことにあるのでした。感覚的には、エミッタ電圧を共通にして ee を能動制御することで、Is の影響を相殺してしまう、というところでしょうか。

ここまでくると、「温度補償回路を組んでもなぜ完璧な補償にならず0.3% の温度補償抵抗が必要か?」という疑問への答えも見えてきます。式(5)のパラメータの中に絶対温度 T がまだ残っているからですね。これを補償するには、R2 を 0.3%/℃ で変化するようにしてやれば良いわけで、おなじみの温度補償抵抗の出番になります。

これで、理由の良くわからなかったアンチログ回路製作時の注意がなんとなくわかったような気になりました。
・Q1 と Q2 は特性の良くそろったトランジスタを使うこと
・Q1 と Q2 は温度的に結合していること
・0.3%/℃温度補償抵抗を使う、恒温槽を使うなどの方法で温度補償が必要

少なくとも、上記の注意事項を守らないと何が起こるのかは理解できたと思います。

数式を使ってごまかした感がありますが、以上が温度補償つきアンチログ回路の動作原理でした。

3 Comments »

  1. はじめまして。 ちょっと違うかな?と思ったので書かせてください。
    式上はおっしゃるようにIsを排除することでoffset補償が達成されますので証明終了なのですが..。

    er/R3(…Iref=Ic1) がQ1によって制御されるという表現がどうも理解できません。
    OPAMPは単に定電流源としての動作なのでQ1のIcはOPAMPによって支配(固定)される、もしくは Q1のIcは定電流源によってのみ制御されるだと思います。 
    つまり CV (…ei)の変化ではVbe1は全く動かないということであってVbe1は温度変化によってのみ変動するというのがこの回路の肝だと思います。

    コメント by KT — 2006/03/23 @ 9:15 PM

  2. KT さんはじめまして。コメントありがとうございます。
    回路の本質がわかっていないので数式でごまかしたのがやっぱりわかってしまいますね。はずかしい。
    わからないから、オペアンプのネガティブ入力の電位は0だから er=ic*R3, ic は直接には Vbe で決まるから…という風に近視眼的に解析してました。
    ic が定電流になるようにVbe1がオペアンプによって制御され、それは CV の影響を受けずに温度変化でのみ変動する、という説明はとてもわかりやすいです。制御は ee の電位を変えることで行う。結果 ee には CV に温度変動を吸収したVbe1がのるので、それを共有している Q2 には温度補償つきの CV がかかる、という風に続くのですね。こういう風に考えれば回路を理解するのに数式は要りませんね。

    コメント by gan — 2006/03/23 @ 10:15 PM

  3. Serge VCO Using LM3900

    70年代のVCOだと思います。ネットにあった手書きの回路図を清書しました。
    (この手書きの回路図には、明らかな間違いがありましたし、その後見たことのある本当のsergeVCOと回路図のスタイルが違うので、おそらく、基板からトレースしたものと思われます。読めない定数は「?」マークをつけてあります。)

    コメント by アナログ電子楽器の回路を読む — 2007/10/08 @ 8:54 PM

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

Leave a comment

Powered by WordPress