SX-150 には、アンチログ回路という、CV の変化をオクターブの変化に変換する回路が入っています。この回路が温度変化に対して不安定で、 SX-150 は気温が変わるとピッチが変動してしまいます。 そこで、アンチログ回路を温度補償型に改造しました。
温度補償は地味な改造で、劇的に音が変わることはありませんが、温度でカーボンパネル上のピッチがあまり動かなくなるので、使用していて安心感があります。
SX-150 の VCO の制御部分にはアンチログと呼ばれる回路が入っていて、入力CVの指数関数の電流をVCOから吸い出す仕組みになっています。 この部分の回路は下のようになっています。
点線で囲まれた部分がCV-制御電流の指数関数変換部です。トランジスタ一個だけで構成されています。
温度補償回路は以下です。点線で囲まれた部分をオリジナルと差し替えます
この回路は、pcm1723さんの単電源用アンチログ回路アイデアを参考にさせていただきました。 理論的な解説は、リンク先のページにあります。非常に巧妙に考えられた優れた回路です。
この回路を単純に差し込むと、ピッチのレンジが変わってしまい、そのままでは使えません。SX-150 回路のほかの部分の回路定数を調整する必要があります。以下のように変更しました。
ついでに、オリジナルで約4オクターブの音域がもう少し広いと良いとかねてから感じていたので、約5オクターブに広げました。
→ SX-150回路図 (学研大人の科学サイトより)
小さく切った基板の上に、チップ部品で回路を構成し、それをオリジナル基板の上にホットボンドで固定しました。 オリジナルのQ2 は除去してしまいます。どこから線を引き出すかは冒頭の基板写真を参考にしてください。
追加基板の厚みが少し邪魔です。オリジナル基板の上にポリイミドテープを張り、その上にいきなり回路を構成すると薄く仕上がって良いかもしれません。 (私は技術がなくてできませんでした)
今回の改造での温度補償は、厳密に言うと完璧ではありません。 まだ少し変動が残っていて、1℃変わるごとにピッチが0.3% 動きます。 これを補償するには、温度によって抵抗値が変化する温度補償抵抗が必要になります。これを入手して試してみるのも面白いかもしれません。