SX-150 の温度補償 : 検討編

SX-150 の改造関係で、Ext Source と並んでもうひとつの宿題になっていた、アンチログ回路の温度補償について、やっとこさ着手しました。(相変わらず遅い!)

実際の改造が完了したら、SX-150 ページの記事に掲載予定ですが、方針決めができたところで、まずは検討内容をアップします。

SX-150 は、温度変化に対してピッチが不安定です。これは、カーボンパネルで生成したCVをピッチに変換する、アンチログ回路に原因があります。SX-150 のアンチログ回路は、右のような構成です。構成というか、トランジスタ一個だけですね。これ以上簡単にしようがない、という設計です。

アンチログ回路の仕事は、入力電圧の指数(逆対数)関数を出力電流として得る回路です。SX-150 の中での位置づけは、こちらをご覧ください。回路図中のQ2がアンチログ回路部分です。

実際に、オリジナル回路の入出力特性を測定すると、下のグラフのようになります。縦軸は対数軸にとってありますから、入出力特性は、かなりきれいに指数関数になっていることがわかります。

このオリジナル回路は、指数関数の発生という点では、非常に素直で良いのですが、温度が変化すると、出力が激しく変動してしまうという欠点を持っています。これが、SX-150の温度に対する不安定さの原因になっています。

温度補償の回路は、下図右側を検討しています。この回路は、ARP Odyssey の VCO や Minimoog の VCF などに使われているものと同原理です。

この回路の動作原理の詳細は、下記の記事あたりを参考にしてください。
http://gaje.jp/2006/03/19/193/
http://gaje.jp/2006/03/16/192/
http://gaje.jp/2006/03/13/191/

さて、今回の補償回路は、SX-150の単電源にあわせるために、少し特殊な制約があります。それは

  • 初段のPNPは、エミッタフォロワだが、コレクタ側の電源が、0Vとなっている。(普通は負電圧にする)
  • 入力段に、負電圧のオフセットがかけられない。

ということです。これらの制約があるため、下のような懸念事項があります。

  1. 初段のPNPでは、入力を0Vから使いたいから、入力電圧とコレクタが同電位ということがありえる。エミッタフォロワの直線性は大丈夫?
  2. 初段のPNPは、ベース・エミッタ間に約0.6Vの電位差が発生する。二段目の指数関数発生用トランジスタは、トランジスタの立ち上がり特性を利用するため、この0.6Vのオフセットが邪魔になり、使えるレンジが狭まってしまう。
  3. 二項めの問題を軽減するには、Rrの値を大きくとればよい。しかし、そうすると、初段エミッタフォロワの出力抵抗が高まってQ2の特性に悪影響を与えてしまう懸念がある。

1項めの、エミッタフォロワの直線性は問題ありませんでした。(意外)

2項めの、レンジの問題と、3項めの歪の問題は、存在しました。以下は、温度補償回路の入出力を測定した結果です。レンジが狭く、高いところでカーブがへたるのが読み取れます。歪は Rr が小さいほど高い出力までもつのですが、レンジは、Rr が大きいほど有利です。結局、Rr をどの辺にすれば良いのかは、グラフからは読み取りにくくよくわかりません。

そこで、オリジナル回路のカーブと温度補償回路のカーブを重ね合わせてみました。初段のオフセットがあるので、単純には重ねられないので、入力電圧に(擬似的に)オフセットをとって補正しました。

各色の矢印が、利用できそうなレンジの範囲を指しています。結局、Rr を変化させても、使えるレンジ幅にあまり変化はなく、ただレンジ位置がシフトしてゆくのだ、ということがわかりました。

ごちゃごちゃ書きましたが、この検討は、以下のように結論しました。

  • 検討回路は使えそうだ
  • 使えるレンジは厳しく制約される。CVのオフセットとRrの調整でうまく使える点を探すべし

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